間違えている英語教育


英語が難しいのは「訳読法」が原因 !?

例えば中学・高校で漢文を学んで、中国語が読める・話せるようになりますか?ありえませんよね。日本の英語教育もこれと同じことをしてしまっているのです。
実は、日本の英語教育は、「訳読法」という暗号解読やパズルを解くような作業をしているので、訳すのが難しく、時間がかかるし、聞いて理解できないのです。そして、聞こえないということは、本当は言語として読めていないのではないでしょうか。
英語を本当に読んだり、聞いたりするというのは、いちいち日本語に訳すのではなくて、一つの言語として普通に英語のまま直接読んだり、聞いたりして理解できることなのです。
そして、実際にそのほうが習得するのが容易なのです。なぜなら、一般に暗号解読ができる人はスパイや軍の特殊部隊など、ごく一部しかいませんが、言語は人間なら誰でも身につけているからです。
一部の人しかできないことと、誰でもできることと、どちらが簡単かというと、誰でもできることの方が簡単なのは言うまでもないことです。英語の学習も暗号解読やパズルを解くような複雑な方法よりも、言語として学ぶほうが、はるかに簡単なのです。
 

「言語として学ぶ」ってどういうこと?

皆さんは「日本語を訳すことなく英語のまま理解できる直読直解法」 (First In First Out) という勉強法を知っていますか?この耳慣れない方法は、一般に学校や予備校などで広く行われている「訳読法」 (Last In First Out) とは根本的に異なり、本格的に英語を身につけることができる勉強法なのです。
 
英語教育の歴史をみると、この方法は明治時代の初め頃からありました。その当時、英語がすごく上手な日本人がいたという話が伝わっているのですが、これは「英語のまま読める直読直解法」 (FI FO) で英語を学んだ人達のことなのです。しかし、なぜか「直読直解法」 (FI FO) は主流にはならず、今日まで細々と伝えられてきました。 (江戸時代には、漢文を訓読し、蘭学でも同様に訳読していました。この流れで、英語も訳読するのが主流になったものと思われます。)
 
その具体的な方法は、簡単に説明すると次のようなものです。
Tom studied history in the library yesterday.
という英文を普通に日本語に訳すと 「トムは 昨日 図書館で 歴史を 勉強した」 になり、英語を後ろから読む、いわゆる「返り読み」 (Last In First Out) が起きます。実は、この返り読みこそが日本の英語教育を失敗させている元凶なのです。
実際にはアメリカ人やイギリス人は、英語を前から前から聞こえる順 (First In First Out) に理解しているのです。さきほどの英文を、英語の語順どおりに理解すると、
Tom studied / history / in the library / yesterday. //
「トムは勉強した / 歴史をね / 図書館で / 昨日のことですが」となります。
 
語順訳(スラッシュ・リーディング)というのは、同時通訳の原理であるサイト・トランスレーションを応用したものです。近年になって同時通訳が登場すると、その後にこの「英語直読直解法」 (FI FO) も英語教育界で少しずつではありますが復活してきたのです。例に出したのは中1レベルの簡単な英文ですが、中2で不定詞が出てこようが、中3で分詞の後置修飾や関係代名詞が出てこようが、同じように文頭から理解できるのです。それゆえ、中2の後半、あるいは中3から、この方法で勉強を始めるのが効果的なのです。さらに、高校生になって教科書の英文が長くなればなるほど、そして複雑になればなるほど、ますますこの方法が威力を発揮するのです。実際、驚くほど簡単に英語が読めるようになるのです。まるで日本語を読んでいるのと同じように、直接理解できるのです。
 
 
「正則教授法」vs.「変則教授法」 -明治時代の英語教育-
明治時代に、わが国の英語教育法には「正則教授法」と「変則教授法」の2通りありました。
正則教授法というのは、主に東京帝国大学で勉強するために用いられていました。当時、わが国には大学教育の伝統がなく、西欧から教授陣を招き、外国語で書かれた教科書(専門書)を使って、外国語(主に英語)で授業をしていました。授業を受けるためには、実際に使える英語力が必要だったのです。正則教授法というのは、そのための指導法のことで、実はこれが「直読直解法」(FI FO) なのです。事実、一部の帝国大学出身者には、外交官として、不平等条約改正のため諸外国と交渉をする能力が求められました。だから実際に使える英語力が必要だったのです。

それに対し、変則教授法というのは、慶応義塾や東京専門学校(早稲田大学の前身)などの私立の学校で用いられていました。当時外国人の教授がいなかったこれらの学校では、外国語で書かれた教科書(専門書)を訳して勉強していたのです。そのための指導法が変則教授法で、これが「訳読法」(LI FO) なのです。前者と違い、こちらは外国の文化や産業を日本に取り入れるため、時間がかかっても正確な日本語に翻訳し、日本人に普及させるのが目的だったのです。


消えてしまった正則教授法!?
戦後、だんだん諸外国との交流が盛んになり、英語の必要性が増しました。それにもかかわらず、日本人は中学・高校と6年も英語を学んでいるのに、なかなか話せるようにならないと言われ続けてきました。最近は、グローバル化が進み、ますます英語が必要になってきています。中学の英語教育の現場には、大勢のALT (外国人の英語補助教員) も配置されています。それでも状況はあまり改善されていません。
ここまで読み進めてきて、もうお分かりだと思いますが、日本人が英語を話せないのは 「訳読法」 (LI FO) が原因なのです。中学・高校の英語教育のほとんどが、いまだに訳読法のままなのです。戦後になって英語教育が復活したときに、「直読直解法」 (FI FO) はどこかに置き去りにされてしまったのです。訳読法 (=変則教授法)というのは、外国語で書かれた書物を訳すための方法であって、聞いたり、話したりという実際に使うための学習法ではありません。答えはすでに明治時代にあったのです。
つまり、「直読直解法」(=正則教授法)で指導しなければ、日本人が英語を使いこなせるようにはならないことは明らかだったのです。訳読法は、明治時代ならまだしも、交通手段や情報伝達手段の発達した今となっては、完全に時代遅れの勉強法なのです。今の時代の要請に応えるためには、英語教育そのものを根本から改革しなければならないのです。つまり、英語の授業を 「訳読法」 (LI FO) から 「直読直解法」 (FI FO) に変えて、英語を使えるようにしなければならないのです。
ですから、直読直解法を学び、「本物の英語力」を身に付けていきましょう!

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